屋上防水工事を行ったあと、短期間で膨れや剥がれが発生したり、雨漏りが再発したりすると、「施工不良ではないか」と不安になる方も多いでしょう。
ただし、防水層に異常が出たからといって、すべてが施工不良とは限りません。
既存下地の状態、建物の動き、設備工事による傷、台風などの外的要因、経年劣化が関係している場合もあります。
施工不良かどうかを確認するには、見た目の症状だけで判断せず、発生した時期、施工した防水工法、使用材料、工事中の写真、見積書や施工仕様などを整理することが大切です。
この記事では、屋上防水の施工不良が疑われる症状、主な原因、経年劣化との違い、施工後に確認したい資料、不具合を見つけた場合の対処方法を解説します。
この記事で分かること
- 屋上防水の施工不良とはどのような状態か
- 施工不良が疑われる主な症状
- 施工不良と経年劣化の考え方の違い
- 工法別に起こりやすい不具合
- 工事写真・見積書・保証書で確認する項目
- 不具合を発見したときの対処方法
屋上防水の施工不良とは
屋上防水の施工不良とは、選定した防水工法や材料に求められる施工手順、使用量、下地処理、乾燥時間、仕上げ方法などが適切に行われず、本来期待される防水性能を十分に発揮できていない状態を指します。
例えば、下地に水分や汚れが残ったまま防水材を施工した場合、下地と防水層が十分に接着せず、膨れや浮きが発生することがあります。
また、ウレタン防水の材料が適切に混ざっていない、必要な使用量が確保されていない、シート防水の継ぎ目や端部が適切に処理されていない場合なども、不具合につながる可能性があります。
現地の状態と工事記録をあわせて確認する必要があります。
屋上防水の施工不良と経年劣化の違い
屋上防水に不具合が見つかったときは、施工不良なのか、時間の経過による劣化なのかを確認する必要があります。
ただし、症状が現れた時期だけで判断することはできません。
施工後すぐに症状が出ても、既存下地に隠れた問題があった可能性があります。
一方、数年経過してから不具合が現れた場合でも、施工時の処理が影響していることがあります。
| 確認項目 | 施工不良が疑われるケース | 経年劣化が考えられるケース |
|---|---|---|
| 症状が出た時期 | 施工直後から比較的短期間で症状が現れた | 長期間使用したあと、徐々に症状が広がった |
| 症状の場所 | 塗り継ぎ、継ぎ目、端部など特定の施工箇所に集中している | 日当たりや歩行箇所を中心に全体的に劣化している |
| 症状の広がり方 | 特定の工程や施工区画に沿って発生している | 紫外線や使用環境の影響を受けながら徐々に進行している |
| 工事記録 | 使用材料、使用量、施工写真、工程記録が確認できない | 施工記録が残っており、一定期間問題なく使用されていた |
| 外的要因 | 明確な外傷や設備工事がないのに不具合が発生した | 台風、落下物、設備工事、重量物などによる損傷がある |
この表は判断の目安であり、施工不良を断定する基準ではありません。
防水工法、既存下地、工事時の状況、建物の使用環境を総合的に確認する必要があります。
屋上防水の施工不良が疑われる主な症状
施工後に次のような症状が現れた場合は、まず施工業者へ連絡し、原因を確認してもらいましょう。
防水層の膨れ・浮き
防水層の内側に水分や空気が残っている場合、表面が膨れたり、下地から浮いたりすることがあります。
表面のベタつき・硬化不良
ウレタン防水などで、施工後も材料が柔らかい、靴跡が残る、表面がベタつく場合は、材料の混合や硬化状況を確認します。
極端な塗りムラ
一部分だけ防水層が薄い、下地が透けて見える、表面の高さが大きく異なる場合は、材料の使用量や施工方法を確認します。
シートの剥がれ・継ぎ目の開き
シート防水の継ぎ目、端部、固定部分が浮いたり開いたりすると、雨水の侵入口になる可能性があります。
施工後のひび割れ
下地のひび割れ処理が十分でない場合や、建物の動きに防水層が追従できていない場合に、亀裂が現れることがあります。
雨漏りの再発
防水工事後も同じ場所で雨漏りが発生する場合は、原因箇所の特定や施工範囲が適切だったか確認する必要があります。
施工後すぐに広い範囲で膨れが発生した
防水層の膨れは、下地や既存防水層に残った水分、接着不良、防水層内部の空気などが関係している場合があります。
特に、施工後の比較的早い段階で広い範囲に膨れが発生した場合は、下地の乾燥状態や施工方法を確認する必要があります。
防水材が固まらず、表面に跡が残る
ウレタン防水などの材料は、製品ごとに定められた方法で計量・混合し、施工する必要があります。
施工後も表面が極端に柔らかい、ベタつく、歩くと跡が残る場合は、材料の混合状態や硬化条件について施工業者へ確認します。
防水層の厚みが場所によって大きく違う
塗膜防水は、現場で液状の防水材を塗り、防水層を形成します。
そのため、施工面積に対して必要な材料量を使用し、均一な厚みになるよう管理することが重要です。
ただし、完成後に見た目だけで正確な膜厚を判断することは難しいため、使用した材料の数量や施工写真も確認します。
端部や立ち上がりだけが剥がれている
床面と壁面が接する立ち上がり、パラペット、排水口、設備基礎などは、形状が複雑で細かな施工が必要な場所です。
端部の押さえやシーリング、防水材の塗り重ねが適切でない場合、その部分から剥がれや隙間が発生することがあります。
屋上防水で施工不良が起こる主な原因
下地の清掃や乾燥が不十分だった
防水材を施工する下地に、ほこり、油分、脆弱な部分、古い塗膜、水分などが残っていると、防水層が十分に接着しない場合があります。
下地の状態に応じて、高圧洗浄、研磨、撤去、ひび割れ補修、乾燥などを行い、防水材を施工できる状態へ整える必要があります。
下地に合わない材料や工法を選んだ
改修工事では、既存防水層の種類と、新しく施工する防水材の相性を確認する必要があります。
既存防水層に水分が含まれている場合や、下地の動きが大きい場合などは、直接密着させる工法が適さないこともあります。
プライマーの塗布不足や塗り忘れ
プライマーは、下地と防水材の接着を助けるために使用される材料です。
下地に合うプライマーが使用されていない、一部に塗り忘れがある、乾燥状態が適切でない場合などは、接着不良につながる可能性があります。
材料の計量・混合が適切でなかった
複数の材料を混ぜて使用する防水材では、製品ごとに決められた割合で計量し、均一になるまで十分に混ぜる必要があります。
混合不足や配合の間違いがあると、一部分だけ固まらない、表面がベタつく、強度が十分に出ないなどの不具合につながる可能性があります。
必要な材料使用量や膜厚が確保されていない
塗膜防水では、施工する面積に応じて、仕様で定められた材料量を使用します。
材料の使用量が少なかったり、塗り広げすぎたりすると、防水層が薄くなり、本来の性能を確保できない可能性があります。
工程間の乾燥時間が適切でなかった
防水工事では、下地調整材、プライマー、防水材、トップコートなどを順番に施工します。
前の工程が十分に乾燥していない状態で次の材料を重ねたり、反対に長期間空けすぎたりすると、接着や仕上がりへ影響する場合があります。
雨・低温・高湿度などの条件下で施工した
防水材には、施工できる気温、湿度、下地状態などの条件があります。
雨が降っている、降雨が予想される、下地が濡れている、気温が低すぎるなど、材料に適さない条件で施工すると、硬化不良や接着不良につながる可能性があります。
継ぎ目・端部・排水口の処理が不十分だった
屋上防水では、広い床面だけでなく、シートの継ぎ目、立ち上がり、排水口、パラペット、設備基礎などの細部が重要です。
細部の処理が適切でない場合、床面がきれいに仕上がっていても、端部や継ぎ目から雨水が入り込むことがあります。
施工前の現地確認と工法選定も、防水工事の品質に関わる工程です。
防水工法別に確認したい施工不良の症状
ウレタン防水
ウレタン防水は、液状の材料を塗り重ね、継ぎ目の少ない防水層を形成する工法です。
確認したい症状
- 施工後も表面がベタついている
- 一部分だけ柔らかい、または硬化していない
- 防水層の厚みに大きなばらつきがある
- 下地が透けて見える部分がある
- 広い範囲に膨れや浮きがある
- 立ち上がり部分から材料が垂れている
- トップコートが短期間で剥がれている
ウレタン防水では、下地処理、プライマー、材料の混合、使用量、乾燥時間などを確認します。
塩ビシート・ゴムシート防水
シート防水は、工場で製造された防水シートを接着剤や固定部材などで施工する工法です。
確認したい症状
- シートの継ぎ目が開いている
- 端部がめくれたり浮いたりしている
- シートに大きなしわやたるみがある
- 固定部分の周囲が破れている
- シートが下地から広い範囲で浮いている
- 立ち上がりや排水口まわりに隙間がある
シート防水では、シート同士の接合、端部の固定、接着状態、機械固定部材の配置などを確認します。
アスファルト防水
アスファルト防水では、ルーフィングの重ね部分、端部、立ち上がり、保護層などを確認します。
確認したい症状
- 防水層や露出仕上げに膨れがある
- ルーフィングの重ね部分に隙間がある
- 端部が剥がれている
- 保護コンクリートに大きなひび割れがある
- 伸縮目地や排水口周辺が傷んでいる
FRP防水
FRP防水は、樹脂とガラス繊維を組み合わせて、硬い防水層を形成する工法です。
確認したい症状
- ガラス繊維が十分に樹脂へなじんでいない
- 気泡や白く見える部分が残っている
- 表面にベタつきや硬化不良がある
- 下地との間に浮きがある
- 短期間でひび割れや剥がれが発生した
屋上防水の施工不良を確認するときに必要な資料
防水工事の不具合を確認するときは、現在の症状だけでなく、工事前後の資料を整理します。
工事前後の写真
施工前、下地処理、防水材施工中、完成後の写真があれば、どの工程まで行われているか確認しやすくなります。
完成写真だけでは、下地補修、プライマー、補強材、防水材の塗り重ねなど、仕上げ後に見えなくなる工程を確認できません。
見積書・契約書
見積書では、施工面積、防水工法、使用材料、材料数量、下地処理、施工範囲、排水口や立ち上がりの処理などを確認します。
「防水工事一式」のように内容がまとめられている場合は、どの範囲に何を施工したのか施工業者へ確認しましょう。
使用材料の商品名と数量
使用した防水材、プライマー、トップコートなどの商品名や搬入数量が分かると、施工仕様との照合がしやすくなります。
材料の空き缶写真、納品書、出荷証明書などが残っている場合は、あわせて確認します。
工程表・作業記録
いつ、どの工程を行ったかが分かる工程表や作業日報があれば、乾燥時間や天候との関係を確認できます。
保証書
保証書がある場合は、保証期間だけではなく、対象となる施工範囲、保証される不具合、免責事項、連絡方法などを確認します。
不具合発見後の写真と記録
不具合を見つけた日、天候、症状の場所、大きさ、雨漏りの有無などを記録します。
写真は劣化箇所の近くだけでなく、屋上のどの場所か分かるように、周囲を含めた写真も撮影しましょう。
用意しておきたい資料
- 工事前・施工中・完成後の写真
- 見積書と契約書
- 施工仕様書
- 使用材料の商品名と数量
- 納品書や出荷証明書
- 工程表や作業日報
- 保証書
- 不具合発見後の写真と記録
屋上防水の不具合を見つけたときの対処方法
- STEP 01
症状を触ったり切ったりしない
膨れを切る、剥がれをめくる、市販材料を塗るなどの作業をすると、原因の確認が難しくなったり、雨水の侵入口を広げたりする可能性があります。
- STEP 02
写真と動画を撮影する
不具合箇所を近くと遠くから撮影し、場所、大きさ、発見日、天候などを記録します。
- STEP 03
施工業者へ連絡する
工事を行った施工業者へ連絡し、現地確認を依頼します。電話だけではなく、メールや書面でも症状を伝えて記録を残します。
- STEP 04
原因と補修方法の説明を受ける
なぜ症状が出たのか、どの範囲を補修するのか、再発防止のために何を行うのか、費用負担はどうなるのかを確認します。
- STEP 05
説明に納得できない場合は別の業者へ相談する
原因の説明がない、補修内容が分からない、同じ不具合を繰り返している場合は、別の防水業者へ現地確認を依頼する方法もあります。
漏電の危険がある場所には触れず、早めに施工業者や専門業者へ連絡しましょう。
屋上防水の部分補修と全面的なやり直しの違い
不具合が見つかった場合でも、必ず屋上全体をやり直すとは限りません。
部分補修で対応できる可能性があるケース
- 不具合の範囲が限定されている
- 周囲の防水層が健全な状態にある
- 原因となる場所が特定できている
- シートの一部分や端部だけに不具合がある
- 排水口や設備基礎など細部の補修で対応できる
広い範囲の改修が必要になる可能性があるケース
- 屋上全体に膨れや浮きが広がっている
- 防水材の硬化不良が複数箇所で発生している
- 防水層の厚み不足が広い範囲で疑われる
- 下地と防水層が十分に接着していない
- 複数の場所から雨水が入り込んでいる
- 既存防水層や下地まで水分が広がっている
表面だけを部分的に直しても、下地や防水層内部に原因が残っていると、別の場所で不具合が再発することがあります。
補修範囲を決める際は、見えている症状だけではなく、その周辺や下地の状態も確認することが重要です。
屋上防水の施工不良を防ぐための契約前チェック
現地調査を行っているか
建物を見ずに面積と価格だけで工法を決めるのではなく、既存防水層、下地、排水口、立ち上がり、設備周辺などを確認しているかを見ます。
工法を選んだ理由を説明しているか
複数の防水工法がある中で、なぜその工法が建物に適しているのか、既存防水層との相性を含めて説明してもらいましょう。
見積書に工事内容が記載されているか
施工面積、防水工法、使用材料、下地処理、施工範囲、排水口や端部の処理などが記載されているか確認します。
施工中の写真を残してもらえるか
下地処理、プライマー、防水材、補強材、シートの固定や接合など、完成後に見えなくなる工程の写真を残してもらえるか確認します。
使用材料と施工仕様が分かるか
商品名だけでなく、どの仕様で施工するのか、何回塗るのか、どの範囲に使用するのかを確認します。
保証内容が書面で確認できるか
保証期間、保証範囲、対象外となる条件、不具合が発生した場合の連絡方法などを、契約前に確認します。
施工実績が確認できるか
戸建て住宅、マンション、ビル、工場など、依頼する建物と近い施工実績があるか確認しましょう。
名古屋市北区の屋上防水は山京株式会社へ
山京株式会社では、名古屋市北区を中心に、マンション、ビル、工場、倉庫、店舗、戸建て住宅などの屋上防水工事に対応しています。
既存防水層、下地、排水口、立ち上がり、設備周辺などを確認し、建物の状態に合った施工方法をご提案します。
他社で施工した屋上防水に不具合が発生し、施工内容や補修方法について確認したい場合も、まずは現在の状況をご相談ください。
- 施工後に防水層が膨れてきた
- ウレタン防水が固まっていないように見える
- シートの継ぎ目や端部が剥がれている
- 防水工事をしたのに雨漏りが再発した
- 施工業者の説明に納得できない
- 部分補修と全面改修のどちらが必要か分からない
- 見積書や工事写真を確認してほしい
不具合の原因は、見た目だけで判断できない場合があります。
症状を触ったり補修したりせず、現在の状態が分かる写真や工事資料を用意してご相談ください。
屋上防水について詳しく知りたい方へ
屋上防水の施工不良についてよくある質問
防水工事後に膨れが出たら施工不良ですか?
膨れの原因には、下地や既存防水層に残った水分、接着不良、施工方法、建物内部からの湿気などがあります。
膨れがあるだけで施工不良とは断定できないため、施工時期や工法、発生範囲を確認する必要があります。
ウレタン防水がベタついていますが問題がありますか?
施工直後は硬化途中の場合がありますが、施工業者から案内された期間を過ぎても強いベタつきや柔らかさが残る場合は、材料の混合や硬化状況を確認してもらいましょう。
施工不良かどうか自分で判断できますか?
見た目だけで施工不良を断定することは難しいです。
症状、発生時期、既存下地、工事写真、使用材料、施工仕様などを総合的に確認します。
不具合を見つけたら自分で補修してもよいですか?
自分で材料を塗ったり、膨れを切ったりすると、原因確認が難しくなる場合があります。
まず写真を撮影し、施工業者や防水工事業者へ相談してください。
他社で施工した防水工事も確認してもらえますか?
現在の防水層や症状を確認することは可能です。
見積書、施工写真、保証書、使用材料などの資料があれば、相談時に用意しておくと状況を確認しやすくなります。
防水工事をすべてやり直す必要がありますか?
不具合の範囲や原因によっては部分補修で対応できる場合があります。
一方、広範囲の硬化不良、接着不良、膜厚不足などがある場合は、広い範囲の改修が必要になる可能性があります。
WATERPROOFING INSPECTION
屋上防水の仕上がりや不具合が気になる方へ
名古屋市北区周辺で、屋上防水の膨れ・剥がれ・硬化不良・雨漏りの再発などにお困りの方は、山京株式会社へご相談ください。
現在の防水層や工事資料を確認し、必要な補修方法をご案内します。





